続)再婚相手の連れ子に財産を残す方法 ~特別寄与料の可能性について~

(続)再婚相手の連れ子に財産を残す方法 ~特別寄与料の可能性について~

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続)再婚相手の連れ子に財産を残す方法 ~特別寄与料の可能性について~





1.はじめに

 先日のブログで再婚相手の連れ子に財産を残す方法として、養子縁組・遺言・生前贈与についてご紹介しました。(参考:https://isshin-office.jp/2023/02/230226/

 では、養子縁組・遺言・生前贈与のいずれもせずに再婚相手が死亡した場合、再婚相手の連れ子は再婚相手の相続人に対して、何も請求できないのでしょうか?

 今回は、民法改正により令和元年7月1日より施行された特別寄与料の制度をご紹介します。

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2.特別寄与料について

 まずは、条文を見てみましょう。民法第1050条に規定されています。

第1050条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

ポイントを以下に記載します。

  • 令和元年7月1日以降に発生した相続が対象
  • 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をすることが必要(※ 1)
  • それにより被相続人の財産が維持又は増加することが必要( ※1)
  • 被相続人の親族( ※2)が請求できる。但し、親族であっても、相続人( ※3)、相続放棄をした者、相続欠格者、被廃除者は請求することができない
  • まずは相続人と話し合い。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停又は審判の申し立てを行う
  • 申立て期限がある(期限が短い!
    1. 特別寄与料を請求する者が、相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき または
    2. 相続開始の時から一年を経過したとき

上記 、1.2. のいずれかの期間を経過してしまうと、家庭裁判所に対して調停又は審判の申し立てすることができなくなります。

( ※1)例えば、被相続人の介護をすることによって被相続人が介護サービス費の支出を免れることができたような場合
( ※2)親族とは、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族を指す(民法第725条)
( ※3)相続人は、後述する寄与分を主張すればよいため

 ところで、この特別寄与料の制度と似た制度に寄与分の制度があります。混同しがちですので、寄与分についてもご紹介します。





3.寄与分について

 寄与分についても、まずは条文を見てみましょう。民法第04条の2に規定されています。

04条の2 同相続人に、被相続人の事する労務の提供又は財産上の給付被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

 第二項の請求は、第九百条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。

ポイントを以下に記載します。

  • 寄与分の場合、請求できるのは相続人に限られる
  • 被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をすることが必要

 令和元年月までは、寄与分の制度しかなかったため、例えば、養子縁組をしていない再婚相手の連れ子がいくら被相続人の療養看護をしたとしても、その貢献われることはありませでした。
 しかし、特別寄与料の制度ができたことによって、養子縁組をしていない再婚相手の連れ子であっても、この制度を使うことによってわれる可能性ができました。






4.参考

 今回は、再婚相手の連れ子に特別寄与料の制度が使える可能性について記載しましたがこの制度は例えば、以下のースでも使える可能性があります。
  • 被相続人の長男が療養看護をしていた場合
  • 被相続人の子が方に居住しており、療養看護を被相続人の兄弟姉妹がしていた場合

 昔のように親子二世帯での同なくなってきている現在、特別寄与料の制度の対象になる方は、案外多いかもしれませ

書士髙田

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