結婚した夫婦のおよそ3組に1組が離婚
結婚した夫婦のおよそ3組に1組が離婚すると言われて久しいですが、内閣府男女共同参画局が発表した資料によれば、令和元年(2019年)に結婚した夫婦のうち、夫または妻のいずれかが再婚である夫婦は、4組に1組以上だそうです(参照:5.pdf (gender.go.jp))。
再婚する夫婦の場合、再婚相手に連れ子がいる場合も多いと思います。以下では、再婚相手に連れ子がいた場合の相続について検討したいと思います。
例えば、妻に連れ子がいると仮定します。夫が死亡した場合、その連れ子は夫の相続人になるのでしょうか?
答えは、連れ子は夫の相続人にはなりません。
民法上、子は第一順位の相続人ですが、ここでいう子とは血縁関係のある子、つまり実子を意味します。夫と連れ子には血縁関係がないため、連れ子は相続人になることはできません。
なお、この夫婦に実子がいない場合、夫の甥や姪が夫の相続人になる場合もあり、相続が複雑になることが予想されます。
夫はどのような対策を取っておけばよかったのでしょうか?
では、再婚相手の連れ子に財産を残すために、夫はどのような対策を取っておけばよかったのでしょうか?
まず考えられるのは、養子縁組です。夫と連れ子の間で養子縁組をしておくことにより、夫の財産を連れ子に残すことができます。先述したとおり、連れ子は実子ではないため相続人にはなりませんが、夫の養子になれば、実子と同順位、つまり第一順位の相続人になるため、夫の財産を相続することができます。なお、夫に実子がいない場合、2人までの養子については、相続税の基礎控除額に反映されるため、相続税対策にもなりえます。
次に考えられるのは、夫が遺言書を作成しておくことです。遺言書に連れ子に残したい財産を記載しておくことにより、夫の死後、連れ子に財産を残すことができます。また、遺言書は法定相続に優先しますので、遺言書を作成しておけば、甥や姪との間で相続が複雑になることを防ぐことができます。
なお、夫の生前に財産を連れ子に贈与するという方法もありますが、贈与税がかかる(贈与税は高い!)ことがあり、注意が必要です。
上記のとおり、再婚相手の連れ子に財産を残す方法はいくつかありますが、いずれにしても生前の対策が必要ですので、ご注意ください。
司法書士髙田